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年齢別の算数スキル:年長から小学4年生までの目安

年長から小学4年生まで、算数で何ができるようになるかを学習指導要領をもとに学年別の表で解説。家庭で練習したいことと、先生に相談したほうがよいサインも紹介します。

  • 5–10歳向け
  • 年長〜小学4年生
  • 10分で読めます

まず結論

年長では、遊びや生活の中で物を数え、多い・少ないをくらべます。小学1年生では1けたのたし算・ひき算(くり上がり・くり下がりを含む)と2けたの数、2年生では2けたの筆算と九九、3年生ではわり算、大きな数、小数・分数のはじめ、4年生ではわり算の筆算、概数、面積や角度を学びます。どれも学年の終わりまでの目安です。

要点まとめ

  • 学習指導要領は、各学年で1年かけて身につける内容を示したものです。学年のはじめにできないことがあるのは、ふつうです。
  • 年長は関心と感覚を育てる時期。1年生で1けたのたし算・ひき算を確実にし、2けたの数と出会います。
  • 2年生で九九とかけ算の意味、2けたの筆算を学び、3年生でわり算、大きな数、小数・分数の入り口へ進みます。
  • 4年生では、わり算の筆算、億・兆、概数と四捨五入、面積や角度など、内容が大きく広がります。
  • 学年の後半になっても目安から大きく離れているとき、または算数をひどくいやがるようになったときは、担任の先生に相談しましょう。

この目安の使い方

ここで紹介する目安は、文部科学省の小学校学習指導要領(平成29年告示)と解説 算数編、年長については幼稚園教育要領と解説をもとにしています。学習指導要領は、全国どこの学校でも一定の水準が保てるよう文部科学省が定めている教育課程の基準で、教科書や時間割もこれをもとに作られています。示されているのは、その学年の1年間で身につける内容であり、4月の時点でできていなければならないことではありません。

子どもの育ち方には個人差があります。英国のEducation Endowment Foundationの指導ガイダンスも、算数の初期の考えがしっかり身につくには時間がかかり、個々のスキルが身につく順番は子どもによってちがうことがあると述べています。さらに日本の学年は4月2日生まれから翌年4月1日生まれまでなので、同じクラスでも4月生まれと3月生まれ(早生まれ)では、ほぼ1年の差があります。

ヒント 表は「地図」として使い、「テスト」にしない

お子さまが表の行のほとんどをできているなら、次の新しいことを練習しましょう。学年の後半になってもほとんどできていないなら、担任の先生に相談するきっかけにします。

学年別・算数の目安一覧

学年の終わりまでに身につける内容(幼稚園教育要領・小学校学習指導要領より)
学年(年齢の目安)数と位取り計算そのほか
年長(5〜6歳)遊びや生活の中で物を数え、多い・少ないをくらべる式はまだ使わない。「合わせていくつ」を遊びの中で長さや広さなどの量をくらべる、形を組み合わせて遊ぶ
小学1年生(6〜7歳)1対1でくらべる。2けたの数と120くらいまでの数。数直線。一の位・十の位たし算・ひき算の意味と式。1けた+1けたとその逆のひき算(くり上がり・くり下がりを含む)を確実に時計の時刻を読む。長さ・広さ・かさをくらべる。身の回りの形
小学2年生(7〜8歳)4けたの数(1万まで)。2ずつ・5ずつ・10ずつ数える。不等号><。1/2、1/4などの簡単な分数2けたのたし算・ひき算の筆算。たし算とひき算の関係。かけ算の意味と九九(1〜9の段)長さ(mm・cm・m)、かさ(mL・dL・L)。時間(日・時・分)。三角形・四角形。表とグラフ
小学3年生(8〜9歳)万の単位(1億まで)。小数(1/10の位)と分数のはじめ。そろばん3・4けたのたし算・ひき算の筆算。2・3けた×1・2けたの筆算。わり算の意味とあまり。□を使った式。簡単な計算の暗算長さ(km)、重さ(g・kg)。秒。円と球。二等辺三角形・正三角形。棒グラフ
小学4年生(9〜10歳)億・兆。概数と四捨五入。1/100の位までの小数。真分数・仮分数・帯分数わり算の筆算(÷1けた・÷2けた)。小数のたし算・ひき算、小数×整数・小数÷整数。分母が同じ分数のたし算・ひき算。四則の混じった式面積(cm²・m²・km²)。角の大きさ(度)。平行・垂直、平行四辺形・台形・ひし形。直方体・立方体。折れ線グラフ

算数の授業は、1年生で年間136時間、2年生から4年生では年間175時間あります(1時間は45分)。ここでいう「確実にできる」とは、長く数えずに、わかっている方法で正しく答えられることです。ストップウォッチとの競争ではありません。

5〜7歳(年長・小学1年生):順調ってどんな様子?

この時期の数の感覚は、手と声で育ちます。幼稚園教育要領解説は、5歳児の後半になると、遊びや生活の中で必要を感じて、多い・少ないをくらべるために物を数えたり、長さや広さをくらべたりするようになると述べています。同時に、幼児期は数量や文字について正確な知識を身につけること自体が目的ではない、とも念をおしています。数を数えて楽しむ経験をたくさん重ねましょう。くらべる力は数の大小くらべで取り上げています。

1年生の終わりごろには、こんな姿が見られます

  • 全部を数え直さず、数え足しでたせる:8 + 3 を「8…9、10、11」。
  • 10をつくってたし算・ひき算ができる:8 + 6 = 8 + 2 + 4 = 14、13 − 4 = 13 − 3 − 1 = 9。
  • 1つの式から別の式がわかる:8 + 4 = 12 を知っていれば、12 − 8 = 4。
  • 2けたの数を「10がいくつと1がいくつ」で見られる:47は10が4つと1が7つ。
  • 20 + 40 や 13 + 4 のような簡単な2けたの計算ができる。

数え足しや10のつくり方は、たし算の教え方で順を追って説明しています。

例 食卓でできるチェック(5分)
  • マカロニを14本並べて「何本?」→ 1本ずつ1回だけさわって「14」
  • 「7とあといくつで10?」→ 3
  • 「9と6、どっちが多い?」→ 9
  • 「23より10大きい数は?」→ 1ずつ数えずに33(1年生)

7〜9歳(小学2・3年生):位取りから九九、わり算へ

2年生では、数の範囲が4けたまで広がり、706が「100が7つ、10が0、1が6つ」であることや、2ずつ、5ずつ、10ずつまとめて数えることを学びます。2けたのたし算・ひき算の筆算(くり上がり・くり下がりあり)にも取り組みます(ひき算の教え方も参考に)。そして2年生の大きな山が、かけ算の意味と九九です。1の段から9の段まで、すべて2年生で学びます。

3年生で新しく加わる大きな考えは、わり算、小数、分数です。12 ÷ 3 には「3人に同じ数ずつ分けると1人いくつ」と「3こずつ分けると何人分」の2つの意味があることを学び、九九を使って答えを出します。数は1億まで広がり、2けたどうしのたし算・ひき算のような簡単な計算は暗算でもできるようにします。

例 3年生が使う考え方
  • 8 × 7 = 8 × 5 + 8 × 2 = 40 + 16 = 56
  • 32 ÷ 8 = □ → 8 × □ = 32 → 4
  • 6 × 4 = 24 なので、4 × 6 = 24
  • 19 × 6 は、20 × 6 = 120 より少し小さい(見積り)

ヒント 九九は2年生、使いこなすのは3年生

九九は2年生で全部の段を学び、3年生のわり算やかけ算の筆算で毎日のように使います。意味をわかってから覚える方法は九九の覚え方で紹介しています。

9〜10歳(小学4年生):大きな数、分数と小数

4年生では、数が億や兆まで広がり、目的に応じて概数を使ったり、四捨五入したりすることを学びます。わり算は筆算になり、わる数が2けたの計算や、「わられる数 = わる数 × 商 + あまり」の関係も学びます。面積(cm²など)や角の大きさ(度)、折れ線グラフなど、算数の世界が一気に広がる学年です。

分数と小数も育ちます。真分数・仮分数・帯分数という言葉を学び、分母が同じ分数のたし算・ひき算をします。簡単な場合には、大きさの等しい分数があることも知ります。小数は1/100の位まで広がり、小数のたし算・ひき算、小数×整数、小数÷整数の計算をします。

例 4年生の例
  • 25 ÷ 4 = 6 あまり 1(4 × 6 + 1 = 25)
  • 2/5 + 1/5 = 3/5
  • 7/5 = 1と2/5(仮分数を帯分数に)
  • 2.35 + 1.4 = 3.75
  • 3.6 × 4 = 14.4
  • 4386 を四捨五入して千の位までの概数にすると 4000

家庭では、それぞれの時期に何を練習すればいい?

学年別・10分でできる練習のアイデア
学年家庭での練習生活の中で
年長物を数えておわんに入れる。指で10をつくる(6と4)階段を数える。家族の人数分のおはしを並べる
小学1年生大きいほうから数え足す。10をつくってたす(9 + 5 = 10 + 4)サイコロ2個の目をたす。時計の「何時」「何時半」を読む
小学2年生ストローを10本ずつたばねて十の位と一の位。九九を唱える10円玉と1円玉で数える。何時何分を読む
小学3年生ボタンで並びをつくる(1列6こが4列)。九九を入れかえる(6 × 4 = 4 × 6)おやつを同じ数ずつ分ける。買い物の合計を考える
小学4年生紙テープを折って分数をくらべる(2/4 と 1/2)。10倍・100倍レシピを2倍や半分にする。値段の概数で合計を見積もる

10多い・10少ない

対象年齢
6〜9歳
時間
10分
用意するもの
トランプ1組(10と絵札を抜き、エースは1として使う)、紙とえんぴつ
  1. カードを2枚めくって2けたの数をつくります。4と7なら47。
  2. 子どもが、1ずつ数えずに10多い数(57)と10少ない数(37)を言います。
  3. 2年生以上は3枚めくって、100多い数と100少ない数を言います:352 → 452 と 252。
  4. 役を交代して、子どもにあなたの答えを確かめてもらいます。わざと1回間違えて、見つけられるか試しましょう。

ほかの画面を使わない遊びはおうちでできる算数ゲームで紹介しています。

先生に相談したほうがよいサイン

どの子にも得意なところと苦手なところがあるので、苦手な単元が1つあるだけなら心配はいりません。次のような様子が、とくに学年の後半に見られたら、担任の先生に相談してみましょう。

  • 年長: 10個の物を正しく数えられない、10までの2つの数のどちらが大きいかがわからない。
  • 1年生: 8 + 3 のような計算でも毎回1から全部数える、物がないと10までのたし算・ひき算ができない。
  • 2年生: 52の5が「10が5つ」だとわからない、20までのたし算のほとんどに指が必要。
  • 3年生: かけ算と「同じ数ずつのまとまり」が結びつかない、知っている九九から別の答えを考えられない。
  • 4年生: 大きな数の位取りでつまずく、8は4より大きいので1/8のほうが1/4より大きいと思っている。
  • どの年齢でも: 算数のたびに涙、腹痛、強い拒否がある(算数への苦手意識も参考に)、またはクラスとの差が広がり続けている。

連絡帳や個人面談の機会に、お子さまが何をできているか、次に何を学ぶか、家庭で何を練習すればよいかを聞いてみましょう。学校によっては、少人数での指導などの支えが用意されていることもあります。家庭での支え方全体はおうちで算数を教えるにまとめています。

よくある質問

年長(5〜6歳)では、算数はどのくらいできればいいですか?

幼稚園教育要領では、遊びや生活の中で数量に親しみ、関心や感覚をもつことが大切にされています。物を数えて多い・少ないをくらべたり、長さをくらべたりする経験を楽しめていれば十分で、計算の式や正確な知識を急ぐ必要はありません。

小学1年生の算数では何を習いますか?

たし算・ひき算の意味と式、1けた+1けたのたし算とその逆のひき算(くり上がり・くり下がりを含む)、2けたの数と一の位・十の位、時計の時刻の読み方などを学びます。

九九は何年生で覚えますか?

小学2年生で、1の段から9の段まですべて学びます。3年生のわり算やかけ算の筆算で毎日のように使うので、2年生のうちに確実にしておくと安心です。

分数は何年生から習いますか?

2年生で1/2や1/4などの簡単な分数に出会い、3年生で分数の表し方や簡単なたし算・ひき算、4年生で真分数・仮分数・帯分数や、分母が同じ分数のたし算・ひき算を学びます。

うちの子は算数が遅れているのでしょうか?

学年のはじめではなく、学年の終わりの目安とくらべてみましょう。学年の後半になっても目安から大きく離れている、または練習を続けても差が広がり続けるときは、担任の先生に相談しましょう。

早生まれの子は、算数で不利ですか?

同じ学年でも4月生まれと3月生まれでは、ほぼ1年の差があります。学習指導要領の内容は1年かけて身につける目標なので、ほかの子とくらべるより、お子さまが少しずつ前に進んでいるかを見てあげましょう。

出典

Edict DigitalのMatoburチームが執筆し、以下の出典と照らし合わせて確認しました:

  1. 小学校学習指導要領(平成29年告示) (新しいタブで開きます)文部科学省
  2. 小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 算数編 (新しいタブで開きます)文部科学省
  3. 幼稚園教育要領(平成29年告示) (新しいタブで開きます)文部科学省
  4. 幼稚園教育要領解説(平成30年) (新しいタブで開きます)文部科学省
  5. 学習指導要領の基本的なこと(学習指導要領とは) (新しいタブで開きます)文部科学省
  6. Improving Mathematics in the Early Years and Key Stage 1(指導ガイダンス、2020年) (新しいタブで開きます)Education Endowment Foundation(英国。DERA・UCL教育研究所によるアーカイブ)