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数の大小くらべの教え方:十のまとまりと不等号><のコツ

数の大小くらべを家庭で教える方法を解説。1対1でくらべる、十のまとまりとばら、不等号><の読み方と覚え方の落とし穴、数直線、見積もりを例題と遊びで紹介します。

  • 5–9歳向け
  • 年長〜小学3年生
  • 11分で読めます

まず結論

数の大小は段階的に身につきます。まず2つの物の集まりを1対1で並べて「どちらが多い?」をくらべ、次に数える順番で10までの数を、そのあと2けたの数を十の位からくらべます(47と39なら、10のまとまりが4つと3つなので47が大きい)。不等号は最後に教え、「7 > 4 は、7は4より大きい」と左から声に出して読みましょう。

要点まとめ

  • まずは具体物で。2つの集まりを1対1で向かい合わせて並べると、広がり方に関係なく、どちらが多いかがわかります。
  • 2けたの数は十の位からくらべ、十の位が同じときだけ一の位を見ます。
  • 不等号は2年生で習います。左から言葉で読むのが基本で、「7 > 4」は「7は4より大きい」。「開いているほうが大きい」は覚え方であって、説明ではありません。
  • 数直線では、右にある数ほど大きくなります。数直線は1年生から使い、「数直線」という言葉は3年生で習います。
  • 数える前に「だいたいいくつ?」と見積もり、数えて確かめると、数の大きさの感覚が育ちます。

数の大小くらべは何歳・何年生で習う?

くらべる力は、学校に入るずっと前から育ち始めます。「どっちのほうがいちごが多い?」もりっぱな大小くらべです。幼稚園教育要領解説は、5歳児の後半には、遊びや生活の中で多い・少ないをくらべるために物を数えるようになると述べています。小学校での学習は、学習指導要領で次のように決まっています。

数の大小くらべの学習の目安(幼稚園教育要領解説・小学校学習指導要領より)
学年(年齢の目安)学校で学ぶこと
年長(5〜6歳)遊びや生活の中で物を数え、多い・少ないをくらべる
小学1年生(6〜7歳)1対1に対応させて個数をくらべる。数の大小や順序を考え、数直線の上に表す。2けたの数と、120くらいまでの数。一の位・十の位
小学2年生(7〜8歳)4けたの数(1万まで)。位取りのしくみと数の大小・順序。不等号><で大小を表す
小学3年生(8〜9歳)万の単位(1億まで)。「等号」「不等号」「数直線」という言葉
小学4年生(9〜10歳)億・兆。概数と四捨五入。以上・以下・未満

学年にかかわらず、言葉が先、記号はあとです。ほかの分野の目安は年齢別の算数スキルをご覧ください。

くらべる力はこう育つ:「多い・少ない」から記号へ

学習指導要領の1年生の「数の構成と表し方」は、くらべる力が育つ順番そのものです。1つずつ積み上がるので、前の段階がぐらついていないか見てあげましょう。

  1. 1対1でくらべる。 2つの集まりの物を1つずつ組にして、相手のいないほうがあれば、そちらが多いとわかります。数を知らなくてもできるくらべ方です。
  2. パッと見てわかる。 1〜3個くらいなら、数えなくても一目で数がわかります。英国のEducation Endowment Foundation(EEF)はこれをサビタイジングと呼び、6を「3と3」と見るような、まとまりで見る力も含めています。
  3. 数えてくらべる。 くまのぬいぐるみが9つと6つなら、両方数えて9のほうが多いとわかります。
  4. 順番でくらべる。 数を唱える順番で後に出てくる数ほど大きいことがわかり、1から数え直さなくても「5の次は6」と言えます。
  5. 頭の中でくらべる。 物がなくても「7と8、どっちが大きい?」に答えられます。
  6. 十を単位にしてみる。 23を「10が2つと1が3つ」と見られるようになると、大きな数のくらべ方へ進めます。

位取りのしくみや不等号は、この上に積み上がります。

ヒント 広がっていても、多いとはかぎらない

1円玉6枚を長く並べ、8枚をぎゅっと集めて置くと、小さい子は長い列のほうが多いと言いがちです。間違いを正すより、上下の列から1枚ずつ組にしてみましょう。相手のいない2枚が残り、8枚のほうが多いとわかります。学習指導要領の1年生の最初の内容も「ものとものとを対応させることによって,ものの個数を比べること」です。

十のまとまりとばら:大きな数をくらべるカギ

位取りとは、数字の位置によってその数字の大きさが変わるしくみです。学習指導要領解説は1年生の例として、43は一の位が3、十の位が4で、1が3個、10が4個あるという意味だと説明しています。このしくみがわかれば、2けたの数は数秒でくらべられます。まずは10円玉と1円玉、または10本ずつ輪ゴムでたばねたストローで数をつくってみましょう。

例 十の位からくらべる
  • 47は、10が4つと1が7つ
  • 39は、10が3つと1が9つ
  • 10が4つ > 10が3つ なので、47 > 39
  • 十の位が同じなら一の位をくらべる:62 < 68
  • 3けたなら百の位から:305 > 298(100が3つ > 100が2つ)

日本語の数の言い方は「十四」「二十三」のように規則的なので、十と一のしくみが言葉に表れています。それでも、聞こえたとおりに「にじゅうさん」を「203」と書いてしまう子がいます。解説も、8235を読むときは全部の位を言い、8000は「はっせん」と必要な位だけ言えばよいが、書くときは各位に0を書かなければならない、という読み方と書き方のちがいに触れています。70や107の0のように、0は「その位に何もない」ことを表す大切な数字です。

ヒント 1多い・1少ない、10多い・10少ない

「39より1多い数は?」「47より10多い数は?」と聞き、1円玉や10円玉を1枚足して、数がどう変わるかを見せましょう。39に1円玉を1枚足すと1円玉が10枚になり、10円玉に両替して40になる瞬間は、位取りのしくみがよく見える場面です。

不等号><の教え方:「開いているほうが大きい」とその落とし穴

不等号は、使い方がわかれば簡単です。「>」は左の数のほうが大きい、「<」は左の数のほうが小さいことを表し、「=」は等しいことを表します。開いているほうが大きい数、とがっているほうが小さい数を向きます。学習指導要領では、2年生で数の大小を>と<で表すことを学び、3年生で「等号」「不等号」という言葉を習います。

家庭や学校では「口が開いているほうが大きい」「大きい数を食べたい、口を開けたワニ」といった覚え方がよく使われます。記号の向きを思い出すには便利ですが、次のような落とし穴があります。

  • 言葉が抜け落ちる。 9 > 4 を正しく書けても、「ワニが9を食べている」としか読めないことがあります。学校では「9は4より大きい」と言葉で読みます。
  • 右から読んでしまう。 3 < 8 は左から「3は8より小さい」と読みます。「8のほうが大きい」も内容は正しいのですが、文を逆から読むくせがつくと、あとで長い式を読むときに困ります。
  • 向きがあやふやになる。 覚え方は覚えていても、どちらを向くかがわからなくなる子もいます。まず「どちらが大きい?」を決めてから、大きいほうへ開きます。
  • 等しいとき。 6と6では食べるものがありません。「=」も選べることを確かめましょう。
  • 考えるところを飛ばす。 覚え方が役に立つのは、どちらが大きいかがわかってからです。本当に大切なのは、大きさをくらべる力そのものです。
例 左から、声に出して読む
  • 9 > 4:「9は4より大きい」
  • 3 < 8:「3は8より小さい」
  • 6 = 6:「6と6は等しい」
  • 4 + 4 > 7:「4 + 4 は7より大きい」

ヒント 書く前に、言葉で言う

まず「どっちが大きい?」と聞いて、答えを言葉で言ってもらい、それから記号を選びます。「小さいほうの、とがった先が小さい数を指す」と覚えるとわかりやすい子もいます。

数直線で数を並べる

数直線は、数の大きさを長さで見せてくれます。右へ行くほど大きい数です。学習指導要領解説は、1年生から数の大小や順序を数直線で表すとし、目盛りが5や10ごとの数直線や、途中から始まる数直線にも次第に慣れるようにするとしています。米国教育省のWhat Works Clearinghouseも、数直線を算数の考えを学ぶ道具として使うことをすすめています。床にテープで0〜20の数直線を等間隔に貼り、子どもを立たせて「12に立って。15は右?左?どっちが大きい?」と聞いてみましょう。

慣れたら、0と20だけに印をつけた数直線で「10はどこ?」と聞きます。正確さよりも、「だいたいこのへん、なぜなら真ん中だから」と理由を言えることが目標です。

例 0〜20の数直線で、どこに入る?
  • 10は、0と20のちょうど真ん中
  • 5は、0と10の真ん中
  • 16は、10と20の真ん中より少し右
  • 19は、20より1小さいので、右のはしのすぐとなり

まっすぐすごろく

対象年齢
4〜6歳
時間
10分
用意するもの
紙、ペン、10円玉1枚、人数分のこま
  1. 紙にまっすぐな10マスの道をかき、1〜10の数字を書きます。
  2. 順番に10円玉を投げ、表なら1マス、裏なら2マス進みます。進みながら「5、6」と数字を声に出します。
  3. 毎回「どっちが先にいる?どっちの数が大きい?」と聞きます。
  4. 10マスが簡単になったら、1〜20の道をかきます。

なぜ、まっすぐで数字の書いてある道なのでしょうか。学術誌Child Developmentに掲載された研究では、低所得家庭の未就学児(平均5.4歳)がこうしたすごろくを合計1時間ほど遊ぶと、数の大小くらべや数直線に数を置く力が伸び、その効果は9週間後も続いていました。数字ではなく色だけのマスで遊んだ子には、このような伸びは見られませんでした。

数くらべトランプ

対象年齢
5〜8歳
時間
10分
用意するもの
トランプ1組(絵札と10を抜き、エースは1として使う)
  1. カードを裏向きのまま2人に配ります。
  2. 2人同時に1枚めくり、大きい数を出した人が「8は5より大きい」と言ってから2枚とも取ります。
  3. 同じ数なら「7と7は等しい」と言い、もう1枚ずつめくります。
  4. 7歳ごろからは位取り版:2枚ずつめくり、できるだけ大きい2けたの数をつくります。7と3なら73です。

見積もり:「だいたいいくつ?」

見積もりとは、筋の通った予想を立ててから確かめることで、数の大きさの感覚を育てます。学習指導要領では2年生から計算の結果の見積りに配慮し、4年生で概数と四捨五入を学びます。

  • びんの中身あて: 透明なびんにマカロニを入れ、「10より多い?少ない?20より多い?」と聞きます。そのあと10ずつのまとまりにして数えます。
  • 10をものさしにする: 両手の指10本や、10個入りの卵パック1つ分が10。ほかの量をそれとくらべます。
  • 数直線の予想:「0〜100の数直線で、50はどこ?」。次は25や90でも試します。
  • 値段くらべ(2年生ごろから):「198円と218円、どっちが高い?」。百の位からくらべます。
  • 四捨五入(4年生):「47は40と50のどちらに近い?」
例 いちばん近い何十
  • 47は40と50の間
  • 47は50まであと3、40からは7はなれている
  • だから、47はだいたい50(一の位を四捨五入すると50)

よくあるつまずきと対処法

  • 長さや広がりで判断する。「こっちの列のほうが長いから多い」。対処:1つずつ組にして並べます。
  • 一の位からくらべる。「9は7より大きいから、39は47より大きい」。対処:10円玉と1円玉でつくり、10円玉の枚数で決まることを見せます。
  • けた数を見ない。「1は9より小さいから、100は99より小さい」。対処:100は10円玉10枚分、99は10円玉9枚と1円玉9枚です。
  • 聞こえたとおりに書く。「にじゅうさん」を203と書きます。対処:10円玉2枚と1円玉3枚を置き、「十の位に2、一の位に3」と位を声に出して書きます。
  • =を「答えを書く合図」だと思う。 5 + 2 = □ + 1 の□に7と書く子がいます。対処:=は「同じ」という意味です。5 + 2 は7、6 + 1 も7なので、□は6です。くわしくはあなうめ問題(□を使った式)をご覧ください。

1日5分の練習と、先生に相談する目安

  1. どっちが大きい?(1分): 2つの数を言います。「17と71?」「45と54?」
  2. 数をつくる(1分): 子どもが10円玉と1円玉で36円をつくり、あなたが10円玉を1枚足します。「いくらになった?」(46円)
  3. 今日の記号(1分):「28 □ 82」と書き、□に記号を入れて、文を声に出して読んでもらいます。
  4. 見積もって確かめる(2分):「お皿にぶどうはだいたい何粒?」。10ずつ数えて確かめます。

1年生の終わりになっても、20までの2つの数のどちらが大きいかを物を数えないと判断できない場合や、2年生で具体物をたくさん使っても十の位と一の位のしくみがつかめない場合は、担任の先生に相談してみましょう。不安が強そうなら算数への苦手意識も参考にしてください。見積もりや四捨五入の感覚は、のちの暗算にもつながります。

よくある質問

大きい・小さいは、どうやって教えればいいですか?

まずは2つの物の集まりを1対1で並べて、どちらが多いかをくらべます。次に数直線で、右にある数ほど大きいことを確かめます。不等号は最後に教え、「9 > 4 は、9は4より大きい」と左から言葉で読ませましょう。

不等号の向きは、どう覚えさせればいいですか?

「開いているほうが大きい数」「口を開けたワニが大きい数を食べる」といった覚え方が便利です。ただし、先にどちらが大きいかを言葉で決めてから記号を書き、書いたあとは左から「〜は〜より大きい」と読むようにしましょう。

2けたの数は、どの位からくらべますか?

十の位からです。47が39より大きいのは、10のまとまりが4つと3つだからです。十の位が同じとき(62と68など)だけ、一の位をくらべます。

不等号は何年生で習いますか?

小学2年生で、数の大小を>と<で表すことを学びます。「等号」「不等号」という言葉は3年生で習います。

位取りとは、かんたんに言うと何ですか?

数字の置かれた位置によって、その数字の大きさが変わるしくみです。52の5は10が5つで50、2は1が2つで2を表しています。

見積もりの力は、どうやって育てればいいですか?

数える前に「だいたいいくつ?」「10より多い?少ない?」と聞き、そのあと数えて確かめます。ぴったり当てることより、筋の通った予想ができることが目標です。

出典

Edict DigitalのMatoburチームが執筆し、以下の出典と照らし合わせて確認しました:

  1. 小学校学習指導要領(平成29年告示) (新しいタブで開きます)文部科学省
  2. 小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 算数編 (新しいタブで開きます)文部科学省
  3. 幼稚園教育要領解説(平成30年) (新しいタブで開きます)文部科学省
  4. Ramani, G. B., & Siegler, R. S. (2008). Promoting broad and stable improvements in low-income children's numerical knowledge through playing number board games. Child Development, 79(2) (新しいタブで開きます)Child Development(PubMed)
  5. Improving Mathematics in the Early Years and Key Stage 1(指導ガイダンス、2020年) (新しいタブで開きます)Education Endowment Foundation(英国。DERA・UCL教育研究所によるアーカイブ)
  6. Assisting Students Struggling with Mathematics: Intervention in the Elementary Grades(実践ガイド、2021年) (新しいタブで開きます)What Works Clearinghouse(米国教育省 教育科学研究所)