スキル別

たし算の教え方:数え足しからさくらんぼ計算、くり上がりまで

家庭でできるたし算の教え方を順番に解説。数え足し、10の合成・分解、さくらんぼ計算、2けたのくり上がりまで、学習指導要領に沿った例題と遊びで紹介します。

  • 5–8歳向け
  • 年長〜小学2年生
  • 11分で読めます

まず結論

たし算は、1つのステップが楽にできてから次へ進むのがいちばんの近道です。最初はおはじきを合わせて全部数え、次に大きい数から数え足します(9 + 3 なら「9、10、11、12」)。続いて「10はいくつといくつ」を覚え、さくらんぼ計算で10をつくります(8 + 5 = 8 + 2 + 3 = 13)。具体物、図、式の順に進めましょう。

要点まとめ

  • 順番は「全部数える → 数え足す → 10の合成・分解 → さくらんぼ計算で10をつくる → 十のまとまりとばら → くり上がりの筆算」です。
  • 具体物 → 図 → 式の順に。指やおはじき、ブロックで十分に操作してから、絵や図、最後に式へ進みます。
  • 学習指導要領では、1けた+1けたのたし算(くり上がりを含む)は1年生で確実にできることが目標で、2けたの筆算は2年生で学びます。
  • 大きい数から数え足すと速く正確です。2 + 9 は 9 + 2 と考えれば「9、10、11」で終わります。
  • 練習はほぼ毎日5分ほどで十分。遊びや生活の中の問題を中心にし、楽しいうちに終えましょう。

たし算は何歳・何年生で習う?

多くの子は、年長のころに遊びや生活の中で「あわせていくつ?」を経験し始めます。小学校では1年生でたし算の意味と記号(+、=)を学び、1けたどうしのたし算を確実にできるようにします。学年ごとの内容は、文部科学省の学習指導要領で決まっています。

たし算の学習の目安(幼稚園教育要領・小学校学習指導要領より)
学年(年齢の目安)学校で学ぶこと
年長(5〜6歳)遊びや生活の中で物を数え、多い・少ないを比べる。式はまだ使わない
小学1年生(6〜7歳)たし算の意味(合わせる・増える)と式。1けた+1けた(くり上がりあり)を確実に。20 + 40、13 + 4 のような簡単な2けたも
小学2年生(7〜8歳)2けたのたし算と筆算(くり上がりあり)。たす順番を変えても答えは同じ(交換法則)。簡単な3けた
小学3年生(8〜9歳)3けた・4けたのたし算の筆算。2けたどうしの簡単なたし算は暗算で
小学4年生(9〜10歳)小数のたし算、分母が同じ分数のたし算、概数を使った見積もり

これは学年の終わりまでに身につけたい目安で、締め切りではありません。大切なのは、ひとつ前のステップが確実になってから次へ進むことです。ほかの分野も含めた全体像は年齢別の算数スキルにまとめています。

ステップで教える:数え足しからくり上がりまで

たし算は階段のように積み上がります。学習指導要領解説も、1年生では「数の合成・分解」と「10のまとまり」に注目させることが大切だとしています。1段ずつ、楽にできるようになってから上りましょう。

  1. 全部数える。 ミニカー4台と3台を合わせ、1から全部数えます(1、2、3…7)。たし算は「合わせる」ことだと体で覚えます。
  2. 数え足す。 はじめの数を言ってから続けて数えます。4 + 3 は「4…5、6、7」。慣れたら大きい数から始めます。2 + 9 は「9…10、11」のほうがずっと楽です。
  3. 10の合成・分解。 10になる組み合わせは 1と9、2と8、3と7、4と6、5と5。両手の指を10本立て、3本折ると7本残ります。「10はいくつといくつ」がすぐ言えると、この先がぐっと楽になります。
  4. 10をつくる(さくらんぼ計算)。 8 + 5 なら、8はあと2で10。5を2と3に分けて、8 + 2 = 10、10 + 3 = 13。学校では、この分け方を枝分かれの図で書きます。
  5. 同じ数のたし算を手がかりにする。 6 + 6 = 12 のような同じ数どうしは覚えやすく、6 + 7 は「6 + 6 より1多い」から13とわかります。
  6. 十のまとまりとばら。 十の位どうし、一の位どうしをたします。34 + 25 は 30 + 20 = 50、4 + 5 = 9 で59。
  7. くり上がり。 一の位の合計が10以上になったら、10を十の位へ1つ移します。47 + 25 は 7 + 5 = 12 なので、十の位へ1くり上げて72です。
例 いっしょに解いてみる例
  • 数え足し:9 + 3 → 9…10、11、12 → 12
  • さくらんぼ計算(たす数を分ける):8 + 5 = 8 + 2 + 3 = 10 + 3 = 13
  • さくらんぼ計算(たされる数を分ける):8 + 7 = 5 + 3 + 7 = 5 + 10 = 15
  • 同じ数を使う:6 + 7 = 6 + 6 + 1 = 12 + 1 = 13
  • 十のまとまりとばら:34 + 25 = 30 + 20 + 4 + 5 = 50 + 9 = 59
  • くり上がり:47 + 25 = 60 + 12 = 72

ヒント 数え足しのたった1つのルール

はじめの数は「言う」だけで、数えません。6 + 3 なら「6」と言ってから「7、8、9」と3つ数えます。「6、7、8」と数えると6を2回数えてしまいます。「6」で頭をポンとさわり、指は3本だけ使うとわかりやすくなります。

さくらんぼ計算とは? 学校の書き方を家庭でも

さくらんぼ計算は、くり上がりのあるたし算で「10をつくる」考え方を、さくらんぼのような枝分かれの図で書く方法です。たとえば 9 + 4 なら、4の下に2本の枝をかいて「1」と「3」に分け、9 + 1 = 10、10 + 3 = 13 と計算します。学習指導要領解説は、和が10を超えるたし算を「10とあと幾つ」という見方で計算するとしており、さくらんぼの図はそれを目に見える形にしたものです。

分け方は2通りあります。解説では、8 + 7 を例に、たす数の7を2と5に分ける方法(加数分解)と、たされる数の8を5と3に分ける方法(被加数分解)の両方を示しています。どちらでも答えは15です。数によって楽なほうを選べれば十分です。

例 さくらんぼ計算の考え方(図の中身を言葉で)
  • 9 + 4:4を1と3に分ける → 9 + 1 = 10 → 10 + 3 = 13
  • 7 + 6:6を3と3に分ける → 7 + 3 = 10 → 10 + 3 = 13
  • 3 + 9:3を2と1に分ける → 1 + 9 = 10 → 10 + 2 = 12
  • 8 + 7:8を5と3に分ける → 3 + 7 = 10 → 5 + 10 = 15

さくらんぼ計算でつまずく子の多くは、図ではなく「10はいくつといくつ」がまだ自動的に出てこないことが原因です。図の練習を増やす前に、10の合成・分解を遊びで固めましょう。

ヒント 図を書くこと自体が目的ではありません

慣れてくると、頭の中で数を分けられるようになり、図を書かなくても答えが出せます。学校で図を書くよう指示されているときはそれに合わせ、家庭では「どうやって10をつくった?」と声に出して説明してもらうだけでも十分な練習になります。

具体物 → 図 → 式の順で進める

7 + 5 = 12 という式は、手で動かした経験があってはじめて意味を持ちます。学習指導要領解説も、1年生のたし算は具体物を用いた活動などを通して計算の仕方の理解を確実にすることが大切だとしています。英国のEducation Endowment Foundation(EEF)の指導ガイダンスも、具体物と数の考えをはっきり結びつけることをすすめています。

  • 指: いちばん身近な算数の道具です。EEFも、指は子どもにとって大切な具体物になりうるとしています。
  • 算数セットのブロックやおはじき: 学校と同じ道具を使うと、授業の言葉とつながります。
  • 10個入りの卵パック: 2列×5個の10マスは「10のまとまり」の形そのもの。1マスに1個ずつおはじきを入れ、上の列から埋めます。
  • 1円玉と10円玉: 1円玉10枚と10円玉1枚が同じ、という両替は、くり上がりの考え方にそのままつながります。
  • 床の数直線: マスキングテープで0〜20の目盛りを等間隔に貼ります。EEFは、体を動かしながら数直線の上を進むことが学びを助ける可能性があるとしています。
例 同じたし算を3つの方法で:7 + 5
  • 具体物:卵パックにおはじきを7個入れ、さらに5個。3個でパックがいっぱいになり、2個があふれる
  • 図:いっぱいのパック(10)と、あと2個の○をかく
  • 式:7 + 5 = 7 + 3 + 2 = 10 + 2 = 12

ヒント 具体物をしまうタイミング

数える前に答えが言えるようになったら、絵や図に切りかえます。EEFは具体物を、なくても考えられるようになったら外していく「足場」と位置づけています。判断の基準は年齢ではなく理解です。新しく難しいステップで、またおはじきを出すのはまったく問題ありません。

2けたのたし算とくり上がりの筆算

2けたのたし算の土台は「2けたの数は十のまとまりとばらでできている」という考えです。47は、10のまとまりが4つと、ばらが7つ。筆算の前に、10円玉と1円玉(またはブロック)で数をつくってみましょう。

  1. 2つの数をお金で表します。47円は10円玉4枚と1円玉7枚、25円は10円玉2枚と1円玉5枚です。
  2. 1円玉を合わせます。7 + 5 = 12枚です。
  3. 1円玉10枚を10円玉1枚に両替します。1円玉は2枚残ります。
  4. 10円玉を数えます。4 + 2 + 1 = 7枚で70円。1円玉2枚と合わせて72円です。
  5. 最後に、お金の横に式を書きます。47 + 25 = 72。

1円玉10枚を10円玉1枚にかえることが、学校でいうくり上がりです。2けたのたし算の筆算(くり上がりあり)は2年生で学び、3年生で3けた・4けたの筆算へ広がります。筆算では、くり上がった1を十の位の上に小さく書くことが多いので、学校の書き方に合わせましょう。

例 考え方がわかってから、筆算で
  • 位をそろえて、47 の下に 25 を書く
  • 一の位:7 + 5 = 12 → 2を書き、十の位に1くり上げる
  • 十の位:4 + 2 + 1 = 7 → 7を書く
  • 答え:47 + 25 = 72

ヒント 計算の前に「だいたいいくつ?」

計算する前に、答えのおよその大きさを聞いてみましょう。47 + 25 はだいたい 50 + 25 で75くらい。そうすれば、612や62のような答えが出たときに、すぐおかしいと気づけます。学習指導要領でも2年生から計算の結果の見積りに配慮することになっています。

よくあるつまずきと対処法

  • はじめの数を2回数える。 5 + 3 を「5、6、7」と数えて7にしてしまいます。対処:床の数直線の「5」に立ち、3回ジャンプして6、7、8。
  • いつも前の数から数える。 2 + 9 を2から9つ数えると、時間がかかり間違えやすくなります。対処:おはじきで 2 + 9 と 9 + 2 が同じことを見せ、多いほうの山から数え足します。
  • 47 + 25 を「612」と書く。 十の位の合計(6)と一の位の合計(12)を並べて書いています。対処:10円玉と1円玉で表し、1円玉10枚を10円玉に両替します。答えは10円玉7枚と1円玉2枚です。
  • くり上がりの1を忘れる(答えが62になる)。 対処:先に見積もり、「12は10と2」と両替を声に出します。
  • 位がずれる。 34 + 5 を84にしてしまいます。対処:「5は10円玉?1円玉?」と聞き、1円玉の4枚の横に5枚を置きます。筆算では位をそろえて書きます。
  • =を「答えを書く合図」だと思う。 8 + 4 = □ + 5 の□に12と書いてしまいます。対処:=は「左と右が同じ」と読み、両側をおはじきで確かめます。□は7です。くわしくはあなうめ問題(□を使った式)で解説しています。

1日5分の練習と3つの遊び

  1. 数え足し(1分):「17から4つ数えて」(18、19、20、21)。
  2. 今日の10の組み合わせ(1分):「6とあといくつで10?」指を立てて「6と4で10」。
  3. さくらんぼ計算を1問(2分): 9 + 4 を卵パックとおはじきで。そのあと「9 + 1 + 3 で13」と声に出します。
  4. 生活の中の1問(1分):「お皿が8枚あって、あと5枚出すと何枚?」(13枚)
  5. 楽しいうちに終える: 最後は必ず、すぐ答えられるやさしい問題にします。

かくれんぼおはじき

対象年齢
4〜6歳
時間
5分
用意するもの
コップ1個と、おはじき・ボタン・1円玉など10〜20個
  1. いっしょに5個数えて山をつくり、コップをかぶせます。
  2. 子どもが見ている前で、さらに3個をコップの下にすべりこませます。
  3. 「いま、何個かくれている?」と聞き、「5…6、7、8」と数え足すよう声をかけます。
  4. コップを上げて数えて確かめ、役を交代します。

トランプで10づくり

対象年齢
5〜7歳
時間
10分
用意するもの
トランプ1組(絵札と10を抜き、エースは1として使う)
  1. カードを12枚、表を上にして並べます。
  2. 順番に、合わせて10になる2枚(7と3など)を見つけ、「7たす3は10」と声に出して取ります。
  3. 空いた場所に山札からカードを補います。組み合わせがなければ4枚追加します。
  4. 山札がなくなったとき、多くの組を取った人の勝ちです。

サイコロすごろく30

対象年齢
6〜8歳
時間
10分
用意するもの
サイコロ2個、0〜30のマスをかいた紙のすごろく、こま
  1. サイコロを2個ふり、大きいほうの目から数え足して合計を出します。
  2. 合計の数だけこまを進め、「5たす4は9」と式を声に出します。
  3. ぞろ目(3と3など)が出たら、もう1回ふれます。
  4. 先に30に着いた人の勝ち。慣れたら「いまのマス+サイコロの合計」も計算します(17 + 8 = 25)。

ほかの遊びはおうちでできる算数ゲームに、たし算の次に身につけたい頭の中での計算は暗算のコツにまとめています。

担任の先生に相談したほうがよいサイン

どの子にも伸び悩む時期はあります。短い練習を数週間続けても次のような様子が続くなら、担任の先生に落ち着いて相談してみましょう。

  • 1年生の後半になっても、いつも1から全部数え直し、数え足しができない。
  • 1年生の終わりごろでも、6 + 3 のようなたし算に長い時間がかかる。
  • 2年生・3年生で、47の中に10のまとまりがいくつあるかが答えられない。
  • 算数の時間が、たびたび涙や強い拒否で終わる(算数への苦手意識も参考にしてください)。

相談のときは、クラスでどんな方法(さくらんぼ計算の書き方、ブロックの使い方、数直線など)を使っているかを聞き、家庭でも同じ言葉を使いましょう。子どもにとっては、方法が1つのほうがずっとわかりやすいからです。

よくある質問

たし算はどうやって教えればいいですか?

まずはおはじきなどの具体物を2つの山にして合わせ、全部数えるところから始めます。次に大きい数からの数え足し、10の合成・分解、さくらんぼ計算(8 + 5 = 8 + 2 + 3 = 13)と進み、具体物や図で意味がわかってから式に移ります。

たし算は何年生で習いますか?

小学1年生でたし算の意味を学び、1けたどうしのたし算(くり上がりを含む)を確実にできるようにします。2けたのたし算の筆算は2年生、3けた・4けたは3年生で学びます。

指を使って計算してもいいですか?

はい。指は最初の大切な算数の道具で、英国のEducation Endowment Foundationも指を具体物として使うことをすすめています。少しずつ、1本ずつ数えるやり方から、10の組み合わせや覚えている答えを使うやり方へ移していきましょう。

さくらんぼ計算は必要ですか?

さくらんぼ計算は、くり上がりのたし算で「10をつくる」考え方を図にしたもので、目的は図を書くことではなく10をつくる考え方を身につけることです。頭の中でできるようになれば図は省いてかまいませんが、学校で書くよう指示されているときはそれに合わせましょう。

くり上がりはどう説明すればいいですか?

10円玉と1円玉を使うのがわかりやすい方法です。47円と25円を合わせると1円玉が12枚になるので、10枚を10円玉1枚に両替すると、10円玉7枚と1円玉2枚で72円になります。この両替が筆算の「十の位に1くり上げる」にあたります。

たし算の練習は1日どのくらい必要ですか?

ほぼ毎日5〜10分で十分です。遊びや生活の中の問題を中心にし、楽しいうちに終えると、次の日も続けやすくなります。

出典

Edict DigitalのMatoburチームが執筆し、以下の出典と照らし合わせて確認しました:

  1. 小学校学習指導要領(平成29年告示) (新しいタブで開きます)文部科学省
  2. 小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 算数編 (新しいタブで開きます)文部科学省
  3. 幼稚園教育要領(平成29年告示) (新しいタブで開きます)文部科学省
  4. Improving Mathematics in the Early Years and Key Stage 1(指導ガイダンス、2020年) (新しいタブで開きます)Education Endowment Foundation(英国。DERA・UCL教育研究所によるアーカイブ)
  5. Improving Mathematics in Key Stages Two and Three(指導ガイダンス、2017年) (新しいタブで開きます)Education Endowment Foundation(英国。DERA・UCL教育研究所によるアーカイブ)
  6. Assisting Students Struggling with Mathematics: Intervention in the Elementary Grades(実践ガイド、2021年) (新しいタブで開きます)What Works Clearinghouse(米国教育省 教育科学研究所)