習慣と心のケア
おうちでできる算数ゲーム:画面なしで遊べる13の遊び(5〜10歳)
トランプ、サイコロ、すごろく、お金、キッチンスケールで遊べる画面なしの算数ゲームを年齢別に13個紹介。すごろくと数の感覚の研究や、上手な遊び方も解説します。

まず結論
家庭の算数ゲームは、トランプ、サイコロ2個、硬貨、キッチンスケール、数字のマスが並んだすごろくなど、家にある物で十分です。子どもが数を声に出し、自分のマスから数え足し、量をくらべる遊びを選びましょう。米国の研究では、低所得家庭の未就学児が1〜10のまっすぐなすごろくを15分ずつ4回遊んだだけで、数の大きさをつかむ力が伸びました。
要点まとめ
- 数字のマスがまっすぐ並んだすごろくは、数どうしの大きさの関係をつかむのに役立ちます。
- 子どもに数を声に出させ、自分のマスから数え足す(「6、7、8」)ようにしましょう。1から数え直さないことが学びのポイントです。
- トランプ、サイコロ、お金、台所の道具で、数えるところから九九まで、ほとんどの力を練習できます。短く遊び、楽しいうちにやめましょう。
- ゲームは学校の代わりではなく、楽しいおまけです。ふだんの生活にない数の遊びを足すときに、いちばん力を発揮します。
算数ゲームは本当に役立つ?研究からわかること
はい。いちばん根拠がそろっているのは、シンプルな数のすごろくです。心理学者のSieglerとRamaniは、1〜10の数字が書かれた10マスがまっすぐ並ぶ、とても簡単なすごろくを使いました。米国の低所得家庭の未就学児が、こまを1マスか2マスずつ進め、通るマスの数字を声に出して言います(「5、6」)。15分ずつ4回遊んだあと、数の大きさを見積もる力で、より裕福な家庭の子どもとの差がなくなりました。同じすごろくを数字ではなく色のマスで遊んだ子には、伸びが見られませんでした。
- 効果は幅広く、続いた。 合計1時間ほどの遊びで、数の大小くらべ、数直線に数を置く力、数えること、数字を読むことが伸び、その効果は9週間後も続いていました(Ramani & Siegler, 2008)。
- まっすぐな道は、円形の道にまさる。 同じゲームを円形の盤で遊んだ場合は、数の大きさの感覚への効果が小さくなりました(Siegler & Ramani, 2009)。
- 数え足しが大切。 0〜100のすごろくで、自分のマスから「5、6、7」と数え足した年長児は、「1、2、3」と数えながら進んだ子より、数直線に数を置く力や数字を読む力などがより大きく伸びました(Laski & Siegler, 2014)。
- 家庭での遊びと数の知識は関係している。 家で数のすごろくをよく遊んでいた未就学児ほど、数についての知識が多い傾向がありました(Ramani & Siegler, 2008)。
指導のガイダンスも同じ方向です。英国のEducation Endowment Foundationは、マスがまっすぐ並び、数字が順に書かれ、マスの大きさがそろったボードゲームは、数え足しのような方略を育てる機会になるので、数の理解にとくに役立つ可能性があるとしています。日本のすごろくは、まさにこの形の遊びです。幼稚園教育要領も、正月などの伝統行事や、わらべうた、伝統的な遊びに親しむことを挙げています。

ヒント 期待はほどほどに
ゲームは魔法ではありません。2024年に英国で行われた、すでに学校に通う4〜5歳児の試験では、数直線のゲームを8回遊んでも、通常の授業以上の効果は見られませんでした。ゲームは学校の代わりではなく、数の遊びを足してくれる楽しいおまけと考えましょう。
算数ゲームを上手に遊ぶには?
- 数を声に出す。 こまを進めるとき、数えるとき、カードをめくるとき、数字を毎回声に出します。上の研究でも、色ではなく数字を言うことが差を生みました。
- 1からではなく、数え足す。 こまが6にいて3が出たら、「7、8、9」。
- 質問は1回に1つ。「20まであといくつ?」くらいで十分です。
- 子どもを銀行係や点数係に。 お金を配ったり点数をたしたりするのは、目的のある本物の算数です。
- やさしく始めて、少しずつ難しく。 サイコロ1個と小さな数から始め、簡単になったらサイコロを2個にしたり、数を大きくしたりします。
- 楽しいうちにやめる。 子どもが「またやりたい」と言う10分は、がまんして続ける40分よりずっと価値があります。

ヒント 今夜から始められる
紙に10マスを横一列にかいて1〜10の数字を書き、ボタン2個と10円玉を1枚用意します。表なら1マス、裏なら2マス進む。2分で、研究で使われたすごろくの家庭版のできあがりです。
5〜6歳(年長〜小学1年生)の算数ゲーム
この時期は、数える、少ない数をパッと見てわかる、10まで、そして20までの数の大小をくらべる、といった力を育てる遊びを選びます。大きい・小さいについては数の大小くらべもご覧ください。
手づくり数字すごろく
- 紙に同じ大きさの10マスをまっすぐ横一列にかき、左から1〜10の数字と「スタート」を書きます。
- 順番に10円玉を投げ、表なら1マス、裏なら2マス進みます。通るマスの数字を「5、6」と声に出します。
- 先に10に着いた人が1点。3回勝負のあと、1〜20のすごろくにも挑戦します。
いつものすごろくを算数に
- こまを動かす前に「どのマスに止まる?」と聞きます。子どもは自分のマスから数え足して予想し、進めて確かめます。
- 止まったマスの数字を毎回声に出します。
- 大きい子は「ふりだしにもどる」や「3マス進む」のマスで、何マス動いたかを計算します。4から14なら10マスです。
グリコ(じゃんけん階段あそび)
- 下の段に並び、じゃんけんをします。グーで勝ったら「グ・リ・コ」で3段、チョキなら「チ・ヨ・コ・レ・イ・ト」で6段、パーなら「パ・イ・ナ・ツ・プ・ル」で6段進みます。
- 進むたびに、いまの段の数を声に出します。「いま9段目!」
- ときどき「ゴールの20段まで、あと何段?」「どっちが何段先にいる?」と聞きます。
数くらべトランプ
- カードを裏向きのまま2人に配ります。
- 2人同時に1枚めくり、大きい数を出した人が2枚とももらいます。子どもに理由を言ってもらいます。「8は5より大きい」。
- 同じ数なら「同じ」と言って、もう1枚ずつめくります。
- 難しくするなら、2枚ずつめくってたし算し、合計が大きいほうの勝ちにします。
6〜8歳(小学1〜2年生)の算数ゲーム
この時期は、10の合成・分解、20までのたし算・ひき算、位取り、お金の計算を練習する遊びが向いています。遊びの裏にある考え方は暗算のコツで紹介しています。
10になる神経衰弱
- カードをすべて裏向きにして広げます。
- 順番に2枚めくり、合わせて10になれば(3と7など)もらえて、もう1回めくれます。
- 10にならなければ裏に戻し、次の人の番です。
- カードがなくなったとき、多く取った人の勝ち。5と5も10になります。
シャット・ザ・ボックス(紙版)
- 紙に1〜9の数字を横に並べて書きます。
- サイコロを2個ふって合計を出し、その合計になる数字を消します。8なら、8だけ、5と3、6と2、1と3と4などから選べます。
- 残った数字で合計がつくれなくなるまで、ふり続けます。
- 消せなかった数字の合計が点数で、少ないほうが勝ち。どれを消すか、よく考えるのがコツです。
お店屋さんごっこ
- それぞれの品物に値段の付せんをはります。小さい子は10円〜50円、慣れたら100円まで。
- 子どもがお店の人です。2つ買って「全部でいくら?」と聞きます。
- 合計より多いお金ではらい、おつりを考えてもらいます。「35円です。50円でおねがいします」なら、おつりは15円。
- 役を交代して、あなたがお店の人になり、子どもがちょうどの金額ではらいます。
キッチンスケールで重さあて
- 2つの物を手に持ち、どちらが重いか手の感覚で予想してから、スケールで確かめます。
- 1つの物の重さを何グラムか予想してから量ります。だれの予想が近かった?
- 全部の物を軽い順に並べ、数字を声に出して読みます(重さのgやkgは3年生で学びます)。
車のナンバーで10づくり
- 車のナンバーの4つの数字を1つ選んで、全部たします。4、7、2、5なら18です。
- 先に10になる組を探すと楽です:3、8、7、1なら、3 + 7 = 10、8 + 1 = 9 で19。
- 慣れたら、4つの数字を全部使って、たし算・ひき算で10をつくれるか挑戦します。1、2、3、4なら 1 + 2 + 3 + 4 = 10。
8〜10歳(小学3〜4年生)の算数ゲーム
大きい子は、かけ算、大きな数、見積もり、先を読む作戦を楽しめます。九九の覚え方とあわせてどうぞ。
かけ算トランプ
- それぞれ2枚めくって、かけ算をします。6と7なら42です。
- 答えが大きいほうが、4枚とももらえます。
- つまったら、知っている九九から考えます:6 × 7 = 6 × 6 + 6 = 42。
目標の数をつくろう
- 2枚めくって目標の数をつくります。2と4なら24。
- さらに4枚めくります。たとえば6、5、3、2。
- 全員が4枚を1回ずつ使い、+、−、×、÷を組み合わせて、目標にできるだけ近づけます。
- 考え方を声に出して説明します:6 × 5 = 30、3 × 2 = 6、30 − 6 = 24。いちばん近い人がその回の勝ちです。
スーパーで合計見積もり
- 子どもが、値札の値段をきりのよい数にしながら、合計を頭の中でたしていきます。198円はだいたい200円です。
- レジの前で、全員が合計の予想を言います。
- レシートとくらべて、いちばん近かった人が帰り道の歌を選べます(概数と四捨五入は4年生で学びます)。
レシピを2倍・半分に
- ホットケーキなどのレシピを選び、2倍か半分の量でつくることにします。
- 子どもが分量を書きかえます。牛乳200mLを半分にすると100mL、卵2個を半分にすると1個、大さじ1を2倍にすると大さじ2。
- いっしょに量りながら聞きます。「計量カップの半分の線は何mL?」
どのゲームで、どの力が育つ?
| 育てたい力 | ゲーム |
|---|---|
| 数える・数の感覚 | 手づくり数字すごろく、いつものすごろくを算数に、グリコ |
| 10の合成・分解 | 10になる神経衰弱、車のナンバーで10づくり |
| 数の大小くらべ | 数くらべトランプ |
| たし算・ひき算 | シャット・ザ・ボックス、車のナンバーで10づくり、お店屋さんごっこ |
| お金とおつり | お店屋さんごっこ |
| かけ算・九九 | かけ算トランプ |
| 四則の計算 | 目標の数をつくろう |
| 見積もり・概数 | スーパーで合計見積もり、キッチンスケールで重さあて |
| 量・分数 | キッチンスケールで重さあて、レシピを2倍・半分に |
ゲームは、階段を数える、値段をくらべるといった、ふだんの算数の会話と組み合わせるといちばん効果的です。くわしくはおうちで算数を教えるをご覧ください。
よくある失敗と対処法
- 1手ごとに直す。 対処:小さなまちがいは流し、1回に1つ、よい質問をします。
- いつもわざと負けてあげる。 対処:たいていは公平に遊びます。サイコロやトランプのゲームなら、小さい子にもちゃんと勝つチャンスがあります。
- 長く遊びすぎる。 対処:「先に10点」「カードがなくなるまで」のように、自然な終わりを決めておきます。
- 難しすぎるゲームを選ぶ。 対処:子どもがいらいらしたら、数を小さくするか、サイコロを1個に戻します。
- ゲームをプリントにしてしまう。 対処:子どもが遊ぶ回数より質問の回数が多くなったら、質問をやめましょう。
よくある質問
5歳におすすめの算数ゲームは?
10までの数を使う遊びがおすすめです。手づくりの1〜10のすごろく、いつものすごろく、グリコ、数くらべトランプなど。遊びながら、子どもに数を声に出してもらいましょう。
すごろくで本当に算数の力がつきますか?
未就学児を対象にした研究では、数字のマスがまっすぐ並んだすごろくで遊ぶと、数えること、数字を読むこと、数の大小くらべ、数直線に数を置く力が伸び、効果は少なくとも9週間続きました。ただし学校の代わりではなく、楽しいおまけと考えましょう。
算数ゲームはどのくらいの時間遊べばいいですか?
5〜10歳の多くの子には、10〜15分で十分です。よく知られたすごろくの研究でも、未就学児は1回15分ほど遊んでいました。
車の中でできる算数ゲームはありますか?
車のナンバーの数字をたす遊びや、10をつくる遊び、2ずつ・5ずつ・10ずつ数える遊び、「その数は50より大きい?」のように、はい・いいえで答えるヒントを出し合う数あてがおすすめです。どれも道具はいりません。
負けると泣いてしまいます。どうすればいいですか?
運の要素が大きいゲームを選び、1回を短くし、ときには家族でチームを組んで見えない相手と戦うのもよい方法です。大人が負けたときに「残念、次はがんばろう」と落ち着いて次の回を始める姿を見せましょう。
出典
Edict DigitalのMatoburチームが執筆し、以下の出典と照らし合わせて確認しました:
- Siegler, R. S., & Ramani, G. B. (2008). Playing linear numerical board games promotes low-income children's numerical development. Developmental Science, 11(5) (新しいタブで開きます)Developmental Science(PubMed)
- Ramani, G. B., & Siegler, R. S. (2008). Promoting broad and stable improvements in low-income children's numerical knowledge through playing number board games. Child Development, 79(2) (新しいタブで開きます)Child Development(PubMed)
- Siegler, R. S., & Ramani, G. B. (2009). Playing linear number board games—but not circular ones—improves low-income preschoolers' numerical understanding. Journal of Educational Psychology, 101(3) (新しいタブで開きます)ERIC(米国教育省 教育科学研究所)
- Laski, E. V., & Siegler, R. S. (2014). Learning from number board games: you learn what you encode. Developmental Psychology, 50(3) (新しいタブで開きます)Developmental Psychology(PubMed)
- James-Brabham, E., Jay, T., & Sella, F. (2024). No evidence that playing a linear number board game improves numerical skills beyond teaching as usual. Journal of Educational Psychology, 116(3) (新しいタブで開きます)ERIC(米国教育省 教育科学研究所)
- Improving Mathematics in the Early Years and Key Stage 1(指導ガイダンス、2020年) (新しいタブで開きます)Education Endowment Foundation(英国。DERA・UCL教育研究所によるアーカイブ)
- 幼稚園教育要領(平成29年告示) (新しいタブで開きます)文部科学省
- 小学校学習指導要領(平成29年告示) (新しいタブで開きます)文部科学省