スキル別
ひき算の教え方:減加法・減々法とくり下がりをやさしく
ひき算を家庭で教えるステップを解説。「のこり」と「ちがい」の2つの意味、たし算との関係、くり下がりの減加法・減々法、2けたの筆算まで、例題と遊びで紹介します。

まず結論
ひき算は「のこりはいくつ(7個から2個食べたら5個)」と「ちがいはいくつ(9と6のちがいは3)」の2つの意味で教えます。まずおはじきで操作し、小さい数をひくときは数え引き、近い数どうしは数え足しで考えます。どのひき算もたし算と結びつけましょう(8 + 5 = 13 なら 13 − 5 = 8)。くり下がりは、10のまとまりを実際にばらしてから筆算へ進みます。
要点まとめ
- ひき算には「のこりはいくつ」(求残)と「ちがいはいくつ」(求差)の2つの場面があります。両方を具体物で体験させましょう。
- どのひき算もたし算の逆として考えられます。5 + 8 = 13 がわかれば、13 − 5 = 8 と 13 − 8 = 5 もわかります。
- くり下がりのある 12 − 7 は、減加法(10 − 7 = 3、3 + 2 = 5)でも減々法(12 − 2 = 10、10 − 5 = 5)でも解けます。数に合わせて選べれば十分です。
- 学習指導要領では、1けたのたし算の逆のひき算(くり下がりを含む)を1年生で確実にし、2けたの筆算は2年生、3けた・4けたは3年生で学びます。
- 2けたのくり下がりは、筆算の前に10円玉を1円玉10枚に両替して見せると、ぐっとわかりやすくなります。
ひき算は何歳・何年生で習う?
ひき算はたし算と並んで、少し後ろを追いかけるように身についていきます。小学校では1年生でひき算の意味と記号(−)を学び、学習指導要領は「1位数と1位数との加法及びその逆の減法の計算が確実にできること」を1年生の目標にしています。つまり、13 − 5 のようなくり下がりのあるひき算も1年生の内容です。
| 学年(年齢の目安) | 学校で学ぶこと |
|---|---|
| 年長(5〜6歳) | 遊びや生活の中で、物を数えたり多い・少ないを比べたりする。式はまだ使わない |
| 小学1年生(6〜7歳) | ひき算の意味(のこり・ちがい)と式。十いくつ − 1けた(くり下がりあり)を確実に。70 − 30、15 − 2 のような簡単な2けたも |
| 小学2年生(7〜8歳) | 2けたのひき算と筆算(くり下がりあり)。たし算とひき算の関係。簡単な3けた |
| 小学3年生(8〜9歳) | 3けた・4けたのひき算の筆算。2けたどうしの簡単なひき算は暗算で |
| 小学4年生(9〜10歳) | 小数のひき算、分母が同じ分数のひき算、概数を使った見積もり |
つまずいたら1つ前のステップに戻り、もう一度具体物を使えば大丈夫です。ほかの分野も含めた全体像は年齢別の算数スキルをご覧ください。
「のこり」と「ちがい」:2つの意味を両方教える
多くの子は、ひき算を「のこりはいくつ」の場面で出会います。「みかんが7個あって2個食べたら、のこりは何個?」という場面です。ところが、ひき算はもう1つ「ちがいはいくつ」(どちらがいくつ多い?)という問いにも答えます。学習指導要領解説では、前者を求残、後者を求差と呼び、1年生で両方を扱います。「のこり」しか知らない子は、くらべる問題で混乱しがちです。
- のこり(求残):クッキー9枚のうち3枚食べる → 9 − 3 = 6 で、のこり6枚
- ちがい(求差):ゆいさんはシール9枚、そうたさんは6枚 → 9 − 6 = 3 で、3枚多い
- たし算で考える:6 + □ = 9 → □は3
ちがいを見せるには、シールを上下2段に1枚ずつ向かい合わせて並べます。相手のいないシールが3枚残り、それがちがいです。何も取りのぞいていないのに、答えは 9 − 6 = 3 になります。解説も、1対1に対応させて対応のつかないものを数える操作と、取り去る操作を結びつけ、同じ結果になることを理解させるとしています。

ヒント 「多い」という言葉に注意
「ゆいさんはシールを9枚持っていて、そうたさんより3枚多いです。そうたさんは何枚?」では、「多い」につられて 9 + 3 = 12 としがちですが、答えは 9 − 3 = 6 です。このように大きいほうの数とちがいから小さいほうを求める場面を、学習指導要領解説は「求小」と呼び、1年生では子どもの様子に合わせて扱うとしています。それだけつまずきやすい問題なので、言葉だけで判断させず、シールを並べたり図をかいたりして場面を再現しましょう。
ステップで教える:数え引きからくり下がりまで
たし算と同じように、具体物から図(数直線など)、そして式へ進みます。米国教育省のWhat Works Clearinghouse(WWC)も、数直線を算数の考えや手順を学ぶ道具として使うことをすすめています。8 − 5 は、数直線の上で5から8までの距離、つまり3目盛りです。
- 具体物で取りのぞく(10まで)。 みかんを8個並べて3個取り、のこりを数えます(5個)。「8ひく3は5」と声に出します。
- 小さい数をひくときは数え引き。 9 − 2 は9から2つもどって「8、7」。床の数直線なら2歩うしろへジャンプします。
- 10の合成・分解を使う。 7 + 3 = 10 を知っていれば、10 − 3 = 7 も 10 − 7 = 3 もすぐわかります。
- 近い数どうしは数え足し。 12 − 9 は9から「10、11、12」と3つ進めば答えが3。9つもどるよりずっと速く正確です。
- くり下がり(十いくつ − 1けた)。 13 − 9 なら、13を10と3に分けて 10 − 9 = 1、1 + 3 = 4(減加法)。13 − 4 なら、まず3をひいて10、さらに1ひいて9(減々法)。
- 2けた(くり下がりなし)。 47 − 23 は、十の位、一の位の順に 47 − 20 = 27、27 − 3 = 24。
- 2けた(くり下がりあり)。 一の位がひけないときは、10のまとまりを1つばらして1が10個にします(下の「2けたのくり下がりを10円玉で説明する」でくわしく説明します)。
- 数え引き:9 − 2 → 9…8、7 → 7
- 数え足し:12 − 9 → 9…10、11、12 → 3つ進んだので3
- 減加法:13 − 9 = (10 − 9) + 3 = 1 + 3 = 4
- 減々法:13 − 4 = (13 − 3) − 1 = 10 − 1 = 9
- たし算で考える:14 − 6 → 6 + 8 = 14 → 8
- 十の位から:47 − 23 = 47 − 20 − 3 = 27 − 3 = 24

ヒント 数えるのは「数」ではなく「ジャンプ」
数え引きでは、最初の数まで数えてしまう子がよくいます。9 − 3 を「9、8、7」と数えると7になってしまいますが、答えは3回ジャンプしたあとに着く6です(8、7、6)。床にテープの数直線を貼って実際に跳ぶと、体で感じられます。
減加法と減々法:どちらで教えればいい?
くり下がりのある「十いくつ − 1けた」には、学校で習う2つの考え方があります。学習指導要領解説は 12 − 7 を例に、減加法は(10 − 7)+ 2 のように10から7をひいて残りの2をたす方法、減々法は(12 − 2)− 5 のように順々にひく方法だと説明しています。
- 減加法:12を10と2に分ける → 10 − 7 = 3 → 3 + 2 = 5
- 減々法:7を2と5に分ける → 12 − 2 = 10 → 10 − 5 = 5
ブロックで操作すると、減加法は「10のまとまりから取る」、減々法は「ばらから先に取る」方法になります。解説は、どちらを主にするかは数の大きさに応じて柔軟に選べるようにすることを原則としつつ、子どもの実態に合わせて指導するとしています。一般に、ひく数が大きいとき(13 − 9)は減加法、ひく数が小さいとき(13 − 4)は減々法が楽です。

ヒント まずは学校のやり方に合わせて
授業でどちらを先に習っているかは、教科書やノートを見るとわかります。家庭で別の方法を急いで教えると混乱しやすいので、まず学校の方法で自信をつけ、慣れてから「こっちのほうが楽な問題もあるね」と比べてみましょう。どちらの方法も、土台は「10はいくつといくつ」です。
ひき算はたし算の逆
たし算とひき算は、互いに元に戻す関係です。5、8、13の3つの数からは、4つの式ができます。2年生では、全体と部分の関係を図に表して、たし算とひき算の関係(相互関係)を学びます。ひき算の答えは、たし算で確かめられます。
- 5 + 8 = 13
- 8 + 5 = 13
- 13 − 5 = 8
- 13 − 8 = 5
学校でよく使うのがテープ図です。紙テープのような長い帯を全体の13とし、それを5と8の2つの部分に区切ります。どこか1つをかくして「かくれた数は?」と聞いてみましょう。全体から一方の部分をひくと、必ずもう一方の部分が残ります。
テープ図クイズ
- 紙に長い帯をかき、上に全体の数(たとえば12)を書きます。
- 子どもが豆12個を2つに分け、帯を区切ってそれぞれの数(たとえば7と5)を書きます。
- 4つの式をいっしょに書きます:7 + 5 = 12、5 + 7 = 12、12 − 7 = 5、12 − 5 = 7。
- 部分の1つを指でかくして「かくれているのはいくつ?」と聞き、役を交代します。
2けたのくり下がりを10円玉で説明する
2けたのくり下がりは、一の位の数が足りなくてひけないときに必要になります。学習指導要領解説も2年生で「ある位の数どうしが引けないときは、1繰り下げて計算する」しくみに気づかせるとしています。お金を使うと、子どもが自分の手で確かめられます。
- 52円を用意します:10円玉5枚と1円玉2枚。
- 27円をはらいたいのに、1円玉は2枚しかなく7枚取れません。
- 10円玉1枚を1円玉10枚に両替します。10円玉4枚と1円玉12枚になり、合計はまだ52円です。
- 1円玉を7枚取ります:12 − 7 = 5。
- 10円玉を2枚取ります:4 − 2 = 2。
- のこりは10円玉2枚と1円玉5枚で25円。たし算で確かめます:25 + 27 = 52。
- 一の位:2 − 7 はひけないので、十の位から1くり下げる(5を4にする)
- 一の位:12 − 7 = 5
- 十の位:4 − 2 = 2
- 答え:52 − 27 = 25
頭の中で考える方法もあります。ひかれる数をそのままにして、52 − 20 = 32、32 − 7 = 25。あるいは27から数え足して、3で30、20で50、2で52なので、3 + 20 + 2 = 25です。おつりの計算と同じ考え方なので、買い物の場面で練習できます。

ヒント 両方の数をばらさない
たし算では両方の数を十の位と一の位に分けてもうまくいきますが、ひき算ではつまずきのもとです。63 − 17 を 60 − 10 = 50、7 − 3 = 4 として54にしてしまうのは、一の位で 3 − 7 を 7 − 3 に入れかえているからです。63はそのままにして、63 − 10 = 53、53 − 7 = 46 と考えましょう。
よくあるつまずきと対処法
- 大きいほうから小さいほうをひく。 52 − 27 を、2 − 7 より 7 − 2 のほうが簡単なので35にしてしまいます。対処:先に「だいたい 50 − 30 = 20 くらい」と見積もれば、35は大きすぎると気づけます。そのうえでお金で両替して確かめます。
- くり下げたのに十の位を減らし忘れる。 61 − 18 で 11 − 8 = 3 としたあと、十の位を6のまま計算して53にしてしまいます。対処:くり下げた瞬間に6を消して5と書きます。答えは43です。
- 0のあるひき算。 40 − 17 を、7 − 0 = 7 として37にしてしまいます。対処:40は10円玉4枚で1円玉が0枚なので、まず10円玉1枚を両替します。10 − 7 = 3、十の位は 3 − 1 = 2 で23です。
- 数え引きで最初の数も数える。 9 − 3 が7になってしまいます。対処:数直線でジャンプの回数を数えます。
- ひく順番を入れかえる。 3 − 8 と 8 − 3 は同じではありません。対処:みかん3個から8個は取れないことを、実際に見せます。
- 「多い」を見てたし算にする。 上の「多い」のヒントのように、シールやテープ図で場面を再現します。
1日5分の練習と2つの遊び
- 数え引き(1分):「15から4つもどって」(14、13、12、11)。
- たし算からひき算へ(1分):「6 + 4 = 10 なら、10 − 4 は?」
- ちがいの問題を1問(1分):「あなたは7歳、いとこは4歳。何歳ちがう?」(3歳)
- くり下がりを1問(2分、7歳ごろから): 34 − 18 を10円玉と1円玉で。答えは16。
- 最後はやさしい問題で、できた気持ちで終える。
ペットボトルボウリング
- ペットボトル10本をボウリングのピンのように立てます。
- ボールを転がし、倒れた本数を数えます(たとえば4本)。
- 残りを数える前に「立っているのは何本?」と聞き、「10ひく4は6」と声に出します。
- 大きい子は30点から始め、倒れた本数を毎回ひいていきます。
0までもどろう
- 全員20からスタートします。
- サイコロをふり、出た目の数だけもどって「20 − 4 = 16」のように式を言います。
- ちょうど0に止まったら勝ち。0を通りすぎる目が出たら、その回はお休みです。
- 難しくするなら、紙の数直線で50から始め、サイコロを2個使います。
ほかの遊びはおうちでできる算数ゲームに、速く正確に計算するコツは暗算のコツにまとめています。
担任の先生に相談したほうがよいサイン
短い練習を数週間続けても、次のような様子が続くなら担任の先生に相談してみましょう。
- 1年生の終わりごろでも、10までのひき算を毎回指で1つずつ数えないと答えられない。
- 2年生・3年生で、具体物で練習してもくり下がりの間違いが何度も戻ってくる。
- たし算との関係(8 + 5 = 13 だから 13 − 5 = 8)が、なかなかつながらない。
- 算数を怖がったり、避けたりする(算数への苦手意識も参考にしてください)。
相談の際は、クラスで減加法と減々法のどちらを中心にしているか、2けたのひき算をどう教えているか(数え足し、数直線、筆算など)を聞き、家庭でも同じ方法を使いましょう。
よくある質問
ひき算はどうやって教えればいいですか?
おはじきなどを使って「のこりはいくつ」と「ちがいはいくつ」の両方の場面を体験させます。小さい数をひくときは数え引き、近い数どうしは数え足しで考え、いつもたし算と結びつけましょう。くり下がりは、10のまとまりをばらす操作を見せてから筆算に進みます。
減加法と減々法は、どちらで教えればいいですか?
まずは学校で習っている方法に合わせるのがおすすめです。学習指導要領解説は、数の大きさに応じて柔軟に選べるようにすることを原則としており、ひく数が大きいときは減加法、小さいときは減々法が楽なことが多いです。
くり下がりはどう説明すればいいですか?
10円玉と1円玉を使います。52円から27円をはらうとき、1円玉が足りないので10円玉1枚を1円玉10枚に両替すると、1円玉12枚から7枚、10円玉4枚から2枚を取れて、のこりは25円になります。この両替が筆算の「十の位から1くり下げる」にあたります。
「〜より多い」とあると、たし算にしてしまいます。
言葉だけで式を決めず、シールを並べたりテープ図をかいたりして、どちらが多いのか場面を再現させましょう。図にすると、全体からひく問題なのか、合わせる問題なのかが見えてきます。
2けたのひき算は何年生で習いますか?
2けたのひき算の筆算(くり下がりあり)は小学2年生で学びます。1年生では70 − 30や15 − 2のような簡単な2けたのひき算を扱い、3けた・4けたの筆算は3年生で学びます。
ひき算の答えはどうやって確かめればいいですか?
答えにひく数をたして、ひかれる数に戻るかを確かめます。52 − 27 = 25 なら、25 + 27 = 52 になるので正しいとわかります。
出典
Edict DigitalのMatoburチームが執筆し、以下の出典と照らし合わせて確認しました:
- 小学校学習指導要領(平成29年告示) (新しいタブで開きます)文部科学省
- 小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 算数編 (新しいタブで開きます)文部科学省
- 幼稚園教育要領(平成29年告示) (新しいタブで開きます)文部科学省
- Assisting Students Struggling with Mathematics: Intervention in the Elementary Grades(実践ガイド、2021年) (新しいタブで開きます)What Works Clearinghouse(米国教育省 教育科学研究所)